日本企業に戻ってみて

外資系に転職してから約10年後に、縁があって日本企業に開発部門の部門長として戻ることになりました。

英語との格闘という世界は卒業になって、私の日本語も徐々に普通の状態(英単語が混じらない状態)に戻っていきましたが、その日本企業でも海外企業とも取引があって、たまに英語を使う機会はありました。使ってない分、単語力とか錆びついたりもしますが、文章を作る力はちゃんと残っているようです。

昨今、多くの日本企業で、グローバル化に対応しようと英語教育に力を入れている姿が目につきます。私のいた企業でも昇格の条件にTOEICのスコアを設定していました。昇格のクラスによっても違いましたが、500点~600点くらいをボーダーラインとして設定していました。私の経験上、TOEIC600点では英語は使えないだろうな、とは思いましたが、制度として定着することで英語力の底上げを狙っていたのだと思います。

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当時、私には150人ほどの部下がいたのですが、人事考課上は条件を満たしているのに、TOEICの点数が未達で翌年の昇格試験を受けれないかもしれないという部下が3人いたのです。上司からも何とか手を打てないかと言われたのですが、「頑張れ!」って言うしかないじゃないかとそのときは思っていました。

その日の帰り道、通勤電車の中でふと、自分が苦労してきたポイントを伝えることで役に立てるのではないか、自分の英語力を錆びつかせないためにも、自分にとってもいいことなのではないかと思って、時間外で勉強会をやることを思いつきました。
強制はできないので、希望者を募る形で始業時間の1時間前に集まってやる形で、募集してみたところ11人の希望者があり(なんと対象の3人も入ってました)、週一回の勉強会を始めることになりました。

私自身の経験から、人のe-mailをたくさん読んで、表現力のワザを盗む、自分の意思を考えて英文を書くという訓練を続ける、ということを中心に進めました。組織異動などもあってメンバーも入れ替わりでしたが2年半くらいは続けたでしょうか。無事、対象の3名も昇格基準を満たせるようになりました。

もともとTOEICの点数は、英語力を正確には伝えてないと思っていたので、「使える英語」ということをキーワードにしていました。TOEICは話す力、書く力を見てないので私がやろうとしてた文章作成力向上とTOEIC点数向上とは必ずしも一致しないのですが、文章力が上がればTOEICも上がるだろうということで、3か月で全員100点アップを掲げたのですが、週一回での勉強ではそこまでは難しかったようです。それでも、50点上がりました、次のテストでまた上がりましたと言ってお礼にくる部下たちもいたのは、とても励みになりました。

受講対象者は、TOEIC350点から550点くらいまでのメンバーでしたが、彼らのフィードバックを聞いてみると、人のe-mailを読み合わせて、ワザを盗むのは非常に効果があった。でも英語でメールを書くという課題は、かなり負担がかかって苦しいということでした。何でもいいから私に毎週、メールを書きなさいと課題を出して、私が添削するということを始めたのですが、最初の2、3回までは良かったのですが、そこから筆が止まってしまいました。聞くと、100単語くらいのメールを書くのに34時間かかってしまうということ、自分の英語力を考えると、書ける題材も限られて、何を書いていいかわからなくなる、ということでした。
途中で方針を変えて、フリーのメールという題材から、ショートセンテンスの英作文、ちょっと長めの英作文をときどき課題として出すようにすると、そんなに負担なくやれたようです。

メールを英語で書くというのは、本当に書く必要があるとか、楽しく書く目的があるとかがないと慣れないうちは難しいのかということがわかったのですが、それでもきちんと「使える英語」をモノにするためには、ここをしっかりやるしかないと、今でも思っています。

職場内での限られた時間(週一回、1時間)ではありましたが、自分にとってもいい勉強になりました。この期間で、このやり方だけで、本物の使える英語にはなりませんでしたが、生徒たちの実感として英語力向上には役立てたのかと思います。あとは、本当に英文メールを書く環境、本気で書く必要、書くことに対するモチベーションを上げることで、最初は3時間かかって100単語のメールを作っていても、それが1時間になり、さらに向上して徐々に数分で辞書なしでも書けるようになり、引いては普段の会話のスピードで、言いたいことが発言できるようになるという、当たり前に必要なステップを楽しく、自然にできる環境を作ることが必要だと思っていると同時に、それを私の仕事にしていきたいとも思うこの頃であります。


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