通訳をやってわかった意思を伝えるということ

外資系企業に移って3か月くらいたったころ、なんと通訳をするようになっていました。

誤解しないでください。3か月で英語をマスターしたというわけではありません。依然として苦労しながらです。

日本企業のお客さんと、自分の会社の本社の外人との間の通訳です。でも、おわかりと思いますが、今振り返ると相当危ない通訳だったと思います。
救いがあったのは、技術の話をするので、技術者である私を含めた参加者にとって、突拍子もないような不可解な単語が少なかったということでしょうか。
もちろん、いわゆる同時通訳ってわけではないので、少し考える時間はあるのですが、それでも待てても数秒ですよね。少なくとも発言が終わってから数秒後には何かを言いださなければ、通訳としては務まりません。この数秒で文章の形、言いたいことの主題、それを構成する構文や単語、熟語、それらを全部頭で作って、それを口からだすわけです。

そのときに苦しみながら、習得、体得したことは、英語の文章を日本語に変換する、また逆に日本語を英文に変換する、ということではなく、言いたい主旨を理解して、その本質、つまりは”意思”を変換したい言語で表現する、ということです。完成されたバイリンガルでない自分が通訳をするときに、無理に忠実に訳そうとするのではなく、”意思”を右から左にパスするんだと考えたら、意外と務まったということです。

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もっと有態に言うと、未熟なために単語が思いつかなかったり、適当な動詞を知らなかったりしたときに、考えても出てこないので違う言い方に変えて言わなければならないことがたくさんあって、そのときに訳したいことを自分が訳せるように意味を変えずに変換することを覚えたのです。

例えば、「今朝の電車はすごく混んでた。」を英語にするときに、crowdedという単語が浮かばなければ、”There were so may people in the train this moroning.”でも言いたい主旨は伝わるわけです。「始業時間に間に合った。」を英訳するときに、in timeという言葉が浮かばなければ、I wasn’t late for school.でも言いたいことは伝わりますよね。

英語と日本語は11ではありません。これが実はとても大事なことなのです。

極端な例ですが、日本語にはとても便利な言葉があります。”よろしくお願いします。”ってみなさんも何気に使ってますよね。
これ、英語で言えますか?

というか、この時の発言者の意思は何でしょう??
一体何をお願いしてるのですかね?これが大事なのです。

ひとつわかりやすいのは、これこれの仕事をお願いしたいのだけどと説明して、あとよろしく頼みます、のよろしくお願いします。

すごく砕けて、しかも英語のとても便利な言葉(Thank you)を使うと、
You got it? (Did you get it?) … Thank you!
わかった?ありがとう。

メールなどで、もうちょっと丁寧にいうと、
Thanks for your cooperation (understanding). とか、もうちょっとへりくだって(でもよく使う)、
Your attention on this will be appreciated. とか。すごく簡単なメール表現としては、すべて説明したあとに、
Thanks in advance. (先にお礼を言っちゃう的)

そもそも、こういうことの頼み方、念の押し方がまるっきり違うわけです。
だから、そもそも同じ土俵で考えたら、とても通訳は務まりません。

もうひとつ、始めて会ったときに、(今後とも)よろしくお願いします、というのもよく言いますよね。
これの英語はもっとやっかいです。そもそも、こんなあいさつをアメリカ人はしないと思います。
すごく無理矢理に英語に直すと、Please qualify me as a part of team members. みたいな。でも、こんな表現の英語を私は聞いたことがありません。

たぶん、アメリカ人、西洋人だったら、ここでへりくだるよりは、自分の得意なところを強調するような表現、意思を伝えると思います。
例えば、Call me at any time you need my support. など、最初から多少上から目線で主張するのが私の知っているアメリカ人です。

もっとたくさん事例はありますが、そもそも言いたいことの表現内容に対する考え方が違うし、したがって文章の構造もまったく違います。

「内緒にしてね。」って言う時、secretという言葉が浮かびますが、でも、英語では、 Keep it only between us. なんて表現します。「xxxだけやればいいんですよ。」ってときに、日本人的にはonlyをどうやって使おうかって考えがちですが、All you need to do is xxx. っていう言い方があります。
日本語を英語に、また英語を日本語にでもですが、文章を変換するという考えをまず捨てましょう。大事なのは、”意思”を伝えることです。

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意思の表現に対する考え方、それを相手に伝える文章の構造、構文がある程度パターンとしてそれぞれの言語で存在します。
これは、文法の教科書では教えてもらえません。でも、決して難しいわけでもないのです。言語(ここでは文法、言語のルールという意味)そのものを強く意識するのではなく、”意思”を強く意識して、それを伝える”わざ”を覚えることだと思います。

 


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